Artists

「アール・ブリュット」「障がい者アート」作家たちの Profile や History


【1】拓海 Takumi

記:アートNPO工房ココペリ代表

米田昌功

拓海さんは企業での就労にいそしむかたわら、アートNPO工房ココペリが主催するワークショップに参加し、制作に取り組んでいます。

支援学校の美術部で絵を描きはじめたときから、その表現は個性的でした。大胆なデフォルメと色彩で見たこともない風景を作り出す画風は、作品を描き上げるごとに少しずつ洗練され、今日に至ります。

「吉田松陰」を描く拓海氏

 

2週おきに行われるワークショップでは、かたわらのCDデッキから好きな特撮ヒーローやアニメヒーローの主題歌を大音量で流し、本をめくっては「これ!」と描くものを決め、やおら画面にマーカーを走らせては、勢いよく色を塗っていきます。

「よし!」「ほら」「ここだ!」。時々決めゼリフのような声を発しながら、しかし、決して手を休めることはありません。まるですでに頭の中にある完成見本をなぞっているかのようです。

タクミワールドの「バス」制作

(ぜひ音声もお聴きください)

 

彼が選んだ題材はどんなものでも、色も、形も、醸し出す雰囲気も全く異なる、色鮮やかで陽気なタクミワールドの住人に変換されてしまうのです。 

自動車

オムライス

ネズミ

 

感性というフィルターがなせる技であるとともに、彼の明るく素直な人間性がもたらす効果といえるでしょう。

<略歴>

1988

富山県に生まれる

2004

第3回ハートフル美術展 審査員特別賞

2005

富山県立高岡養護学校卒業、ワークショップKAI=KAIに参加

2006

越中アートフェスタ 入選(以後、毎回入選)

2007

workshop KAI=KAIグループ展「L+P=?」「B・O・B」(~2010)

2008

八尾スローアートショー(富山市立樫尾小学校)

2009

八尾スローアートショー(樫尾小学校児童とワークショップで共同作品制作)

2010

「丸木スマとアール・ブリュット この素晴らしき世界」(西田美術館)

2013

越中アートフェスタ 奨励賞

末永征士・前田拓海二人展 七つの彩の物語」(越中一宮 射水神社)

2014

個展「Be colorful」(射水市大島絵本館)

2018

アール・ブリュット展in上越(浄光寺)

OPEN DOOR! ボーダレスアートセッションin富山(富山県民会館美術館)

HEARTの中のART ボーダレスアートセッションin富山(薬商の館 金岡邸)

2019

Mochicon展 富山の7人展(高岡市美術館)

2021

スターバックス射水歌の森店 作品常設展示

2022

PAT & BRUT(北日本新聞社ギャラリー)


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【2】末永征士 Masashi Suenaga

「びーあーと」Vol.3(2020年10/17発行)より

 ※富山県障害者芸術活動支援センター

ばーと◎とやま 企画・編集

末永さんは、福祉事業所に通いながら、月に1、2度の創作活動に参加し作品を描いているアーティストです。

幼いころより電車に関心があり、客車、貨物車関係なくいろいろな車両の細かいところまでこだわって描くのが大好きでした。 

支援学校時代に描いた電車

 

電車を描くことからいろんなものを描く楽しみを知り、今では図鑑や写真を見ながら、マーカーとアクリル絵の具を使って仏像から自然、動物まで、さまざまなものを描いています。

いつも本や写真がお手本になりますが、線を引くごとにお手本の面影は消え、大胆な構図とシンプルな形状やカラフルな色、それらをつなぐように隙間に埋まっていく不規則な線によって、どこにも見たことのない表現が現れます。 

線で隙間を埋めていく独特の技法

 

描き方にも自分なりのルールがあるなど、職人気質のアーティストかと思いきや、色形の選択や仕上がり加減を気にして揺れ動く面もみせる愛すべき頑固者です。

また、時事ネタや思い出話が大好きで、絵を描きながら近くにいる人を質問攻めにして楽しむこともあります。

そんな末永さんの姿が、作品の面白みにもつながっているようです。

アール・ブリュット展での大絵馬公開制作

(2023年9月 氷見市芸術文化館)

 

2014年からは毎年、射水神社の拝殿横に飾られる大絵馬を奉納しており、2020年9月にオープンしたスターバックス射水店のアートを同じワークショップに通う拓海さんと一緒に手がけました。

射水神社への奉納大絵馬『射の獅子』

末永さんが描いた『くたべ』は疫病退散妖怪クタベ絵はがきになり、県内95カ所の郵便局で「癒しキャンペーン」として無料配布されました

展覧会場の「ハナデストハッパ」

Profile

2007

富山県立高岡支援学校 卒業

2009

L+P=?(元麻布ギャラリー富山)

2012

この素晴らしき世界 丸木スマとアール・ブリュット(西田美術館:上市町)

2013

七つの彩(いろ)の物語 前田拓海・末永征士二人展(射水神社:高岡市)

2014

射水神社大絵馬奉納(以後毎年奉納)

2015

太閤山ビエンナーレ2015(富山県立近代美術館ふるさとギャラリー)

越中アートフェスタ 佳作

2016

越中アートフェスタ 奨励賞

2017

越中アートフェスタ 佳作

2018

OPEN DOOR! ボーダレス・アートセッション in 富山(富山県民会館美術館)

2019

個展「Colo Memo」(大島絵本館:射水市)

2020

スターバックス射水店壁絵 制作 


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【3】MAO(荒見真央)

「びーあーと」Vol.1(2019年11/15発行)より

 ※富山県障害者芸術活動支援センター

ばーと◎とやま 企画・編集

とにかく絵を描くことが好きな真央さん。現在は全く異なる2種類の表現を行っています。

動物画はワークショップで、落書きは自分の部屋で生まれました。

 

まず一つはNPOスタッフが「GRAFITTI」と呼んでいる作品。広告の裏や紙の切れ端に、殴り描きのような文字で、気になる言葉や自戒のセリフ、赤い服を着た丸い女の子などが繰り返し描かれています。 

GRAFITTI

 

コミュニケーションが上手ではない彼女と誰かをつなぐための大切なツールとして表現されているようです。

気になる人に見せたり、プレゼントもされる作品で、コミュニケーションツールとしても使われるのですが、ある意味、描き捨ての日記ですね。

 

もう一つの表現は大小さまざまな紙に描いた動物の作品群。ワークショップでは動物しか描かないと決めているらしく、毎回到着と同時にクレヨンを準備し、持参した動物の写真を見ながら、ものすごい集中力とスピードで紙にクレヨンを擦りつけていきます。

クレヨンが小さくなって持てなくなった頃、鮮やかな動物が画面上で産声をあげます。 

 

完成作品を抱えて記念写真を撮ると、次の予定に向けてさっと帰っていく!

お母さんは、こだわりが強く感情がつかめない娘との関わりに不安を感じていたそうですが、ある日、描き続けていた動物の絵に変化を感じました。

鮮やかな色のシロクマが笑っている!

この子は絵を通して感情を外に出しているんだ!  

しろくまくん

 

この経験を通して創作活動の大切さに改めて気づいたそうです。

 

アートへの絶対的な信頼、描くことと生活が密接につながった真央さんの、次の作品が楽しみです。 

無題

無題

ペンギン

イルカ

<Profile>

2010

丸木スマとアール・ブリュット この素晴らしき世界(西田美術館:上市町)

2011

越中アートフェスタ 奨励賞

2012

個展「Maoful zoo」(富山市ファミリーパーク)

2013

太閤山ビエンナーレ2013(富山県立近代美術館分館 ふるさとギャラリー)

2015

アール・ブリュット◎高岡 ~ココロノチカラ・イロ・カタチ~(高岡市美術館市民ギャラリー)   

2016

脳みそちゅんちゅんな理由 誰かおせ~展(六感美術館:福井県)

2017

ピアニストYUTAとのペインティングライブパフォーマンス(サンシップとやま)

2018

OPEN DOOR! ボーダレス・アートセッション in TOYAMA(富山県民会館美術館)

アール・ブリュット◎高岡3 ~らしくとままで~(高岡市美術館)

アール・ブリュット展 in 上越2(浄興寺:新潟県)

HEARTの中にはARTがある ボーダレス・アートセッション in TOYAMA(薬種商の館 金岡邸:富山市)

明治150年記念事業 現代アートとの出会い展 5人の作家(豪農の館 内山邸:富山市)

2019

ビエンナーレTOYAMA2019(富山県美術館)

和日 作美 素生の表現者たち ボーダレス・アートセッション in 勝興寺(高岡市) 


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【4】シノタケ

 「びーあーと」Vol.3(2020年10/17発行)より

※富山県障害者芸術活動支援センター

ばーと◎とやま 企画・編集

子供のころは行動に自制がきかないことがあったとはいえ、大きな問題もなく過ごしてきました。

でも、周囲との違いを意識しはじめてからは髪が伸び放題になり、部屋に閉じこもるように。

 

特別支援学校に進学したものの引きこもる日が半年以上続きましたが、担任の助言によって美術部だけ参加する放課後のみの登校が始まりました。

よく落書きをしていたから絵は好きなのではとの家族の話を頼みにした懐柔策だったので、頑固な彼がその案に応じたことには家族も意外に感じたそうです。

 

顧問の先生と二人での部活動。先生は画材を渡したあとは自由に過ごさせ、描き方などに注文をつけず、描きたくなければボーッとして帰っていいですよとも言いました。

当時の美術部顧問

現・アートNPO工房ココペリ代表 米田昌功氏

 

描けばどんな絵も作品として飾り、大切に扱ってくれました。

放課後登校が増えるにつれ、いつしか授業にも参加できるようになっていきました。

 

さらに転機となったのは、県主催の美術展で賞を取ったことです。

「もし絵がなかったらどうなっていたんだろう」。自棄におちいりがちだった生活を心配する家族にとっては、光を感じた素敵な出来事でした。 

 

それからは、荒々しく筆を動かしたり、一本一本埋めこむように線を刻んだり、そんな「線から湧き上がるエネルギーが個性の作品」を描き続けています。

 

今も月数回通う絵画グループでいろいろな大きさの絵を描いていますし、地元新聞のコラムの読み写しにも毎日休まず取り組んでいます。

 

福祉事業所では、時間が空けば紙片やスケッチブックに何か描いているし、刺繍や「さをり織」用の糸くずを集めて、布に縫いつけて何か表現しようとしているらしい。

 

描く、写す、そして何かを表す、気がつけば創作だらけの日々を過ごしています。 

無題

立山大仏

POP HEART SESSION3⃣

<Profile>

2006

富山県立高岡支援学校 卒業

第1回越中アートフェスタ 奨励賞

2007

workshop KAI=KAIグループ展「L+P=?」「B・O・B」(~2010)

2008

八尾スローアートショー2008(富山市立樫尾小学校)

2009

越中アートフェスタ 優秀賞(~2013 入選)

八尾スローアートショー2009(富山市立樫尾小学校)

2010

丸木スマとアール・ブリュット この素晴らしき世界(西田美術館:上市町)

2013

七つの彩(いろ)の祝い干支(射水神社:高岡市 以後毎年出品)

アールブリュット全国公募 入選

2014

アール・ブリュット☆アート☆日本2

(滋賀県 ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、瓦ミュージアム会場)

会場にて(2014年)

2016

個展「シノタケ・アート・セッション」(大島絵本館:射水市)

2018

OPEN DOOR! ボーダレス・アートセッション in TOYAMA(富山県民会館美術館)

2019

和日 作美 素生の表現者たち ボーダレス・アートセッション in 勝興寺(高岡市)


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【5】辻 龍之介 Ryunosuke Tsuji

和日(わび) 作美(さび) 素生(すき) の表現者たち

ボーダレス・アートセッション in 勝興寺

(2019年開催) パンフレットより

家にあるもの、好きなテレビ番組、生活の中から描きたいものを選んで描く。特に知人宅や自宅にいるペットを描いている時が一番安定している。

 

シンプルでわかりやすい線による表現。気に入ったものは見るだけでなく触って確かめることがよくあり、そのせいか、動物のからだの描き方もかたちがしっかりして自然である。

無題

無題

無題

無題


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【6】村中 洋介 Ryosuke Muranaka

和日(わび) 作美(さび) 素生(すき) の表現者たち

ボーダレス・アートセッション in 勝興寺

(2019年開催) パンフレットより

本人用に持ち手を長くした筆で黒一色で描く。

十年ぶりの村中氏の三筆

詳しくはこちらの動画をご覧ください

https://www.youtube.com/watch?v=DY0ZVgdQmNU

 

鳥や人の周り、画面中に描かれるのは花なのだ。何を描いてもそこには彼の信じる楽園になる。絵が好きなのかよくわからないくらいおしゃべりばかりしているが、突然描き始めると100号を埋めてしまう。

ピースバード

ふくろう

無題

無題


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